市田柿とは
「市田柿」とは長野県高森町(旧市田村)で、栽培されていたことから名前のついた、渋柿の名称でした。
これを干柿にしたものもまた、「市田柿」とも呼ばれ、今では地域の冬の特産物として、全国に出荷されています。
市田柿は一般的な干し柿と比べてポリフェノールが多く含まれており、栄養価が高いのも特徴です。
市田柿発祥の地 市田
南信州・伊那谷は中央アルプスと南アルプスに挟まれた盆地にあり、伊那谷を南北に流れる天竜川の両側に連なる段丘に集落が点在しています。
市田柿は、古くから山村の人々が、庭に実った渋柿を、皮を剥いて軒先に干し、冷たい風で乾かしてつくられる冬の貴重な保存食です。
天竜川の川霧にさらされ
とくに、ここ高森町の市田地区は、12月になると毎夜のように天竜川からあがってくる冷たい川霧で覆われ、丘の上にたつ当社からはまるで雲海を眺めるような美しい景色になることもあります。
この冷たい川霧で、柿本来が持っている糖分がじわっとそとに染み出してくると「渋が抜けた状態」になり、甘くなって食べられる状態になります。
柿の中の自然の糖分が粉になる
さらにこうして干された市田柿は、1月2月の寒風にさらされることで、糖分が白い粉となって、美味しい市田柿に仕上がります。
粉をつけているの?というご質問をいただきますが、この柿の実のまわりについた粉は天然の糖分なので、やさしい甘さとやわらかく干し上がった柿のもちもち感とを味わっていただけます。
伊那谷の風物詩・吊るし柿
農家の軒先に吊るされた「市田柿」は伊那谷の冬を彩る風景の一部でした。
今では、国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」の対象に登録され、衛生管理や製法などが決められ、「市田柿」のブランドとして、安定した安心と美味しさを提供できるような制度のもと、製造されております。
天然の自然な甘みが好評
今のようにチョコレートや洋菓子などがない時代、天然の甘さは自然の恵みでした。
当社ではこの天然のやさしい味に仕上げるために、できるだけひとつひとつ丁寧な作業を心がけ、市田柿を作っております。
市田柿ができるまで
- 樹上でしっかりと熟成された渋柿は美味しい市田柿になります。熟しすぎずちょうど良い熟成のときに収穫することが大切です。
- 熟度、傷、ヘタ黒など一つ一つ検品し選果機へ。各大きさ1コンテナ20㎏に分けられ皮むき場へ運ばれます。
- 機械でホゾを切らないよう丁寧に乗せます。皮の剥け残りが無いよう一つ一つ検品は欠かせません。
- 実がくっつき合わないよう丁寧に柿のれんへ吊るします。一つ一つ皮の剥け残りがないか確認しながら吊るしていきます。
- 最初に燻蒸することで、殺菌と、仕上がりの色が黒くなることを防ぎます。オレンジ色の鮮やかな干柿になります。
- 2~3週間じっくりと自然乾燥をします。風通しと温度管理が大事。毎日目を離せません。
- もとの柿のサイズから30%くらいになったら、はざおろしをし、天日にかけます。揉みながら手触り、色目を見ながら仕上げていきます。ブドウ糖が表面へ徐々に出てきてうっすら白くなりはじめます。
- 日光と風、揉み入れながら仕上げていきます。朝はしっかり風を通し日光を当て、夜は冷えすぎないようにハウスの管理をします。
- こうして干し上がった市田柿は、厳重な管理のもと弊社でパッキング、出荷されます。当店の市田柿は12月中旬から出荷がはじまり、2月3月までじっくりと仕上がりますので長くお楽しみいただけます。